労働保険のうち「労災保険」は、労働者が業務上の災害を受けた際に補償される労働者保護の保険です。元請・下請に関係なく、1人でも労働者や職人を使う事業者が必ず掛けなければなりません。また、一人親方や事業主の方は、ご自身で労災保険を掛けなければなりません。
また、従業員を雇う場合には「雇用保険」も必ず掛けなければなりません。労災保険と一緒に掛けておきましょう。
労災保険
労災保険に入ると、下記の給付が受けられます。
【治療費と入院費】(療養補償給付)
治るまで全額無料
【仕事を休んだとき】(休業補償給付)
休業4日目から働けるようになるまで、1日につき平均賃金の80%を支給
【障がいが残ったとき】
障がい保障年金や、障がい保証一時金を支給
【死亡事故のとき】
遺族補償年金、または、遺族補償一時金とともに、葬祭料を支給
労災保険の種類
労災保険は、業種や事業規模などによって異なります。3つの労災保険の概要を「特別加入労災」も含めてご案内いたします。
■ 小工事一括労災保険 (有期事業)
1件の請負工事金額1億9千億円以下の場合、年間を通して工事の大小に関係なく、その事業所が請けた元請け現場には労災保険を組合を通じて掛けることが出来ます。一方、1億9千万円を超える場合は、その建設現場がある所轄の監督所に行って掛けなくてはなりません。
年間の元請け金額で保険料が決まりますが、事業主特別加入の場合は、希望日額から自由に選んで加入することが出来ます。
■ 継続事業労災保険
建具、畳、鉄工などの製造・加工業を営む事業で、常時1人でも労働者を使う事業主は、この労災保険に加入します。業種に加え、使用人に支払った年間の賃金総額によって、保険料が変わります。
事業主は、希望日額を選んだ上で特別加入が出来ます。また、事業主と生計を一にする同居親族も、特別加入をしなければ、労災補償を受けることは出来ません。
法人の場合は、役員(業務執行権を有する者)全員が、この労災保険に加入しなければなりません。
■ 一人親方労災保険
建築事業で人に使われることもないが、人を使うこともない、いわゆる「一人親方」の方が加入する労災保険です。年間に労働者を雇うのが100日未満の方が対象となります。
希望日額を選んで加入することになりますが、年間保険料の額にかかわらず「一人親方労災事務費」が年2,200円必要になります。
雇用保険
「雇用保険」とは、かつて「失業保険」と呼ばれたものですが、労働者が失業した場合などに必要な給付を行い、労働者の生活と雇用の安定を図ることなどを目的とした保険制度です。事業主と労働者の保険料負担は、2:1となっています。
同じ事業主に雇用されていても、建築の事業に携わる方と、それ以外の一般事務の方では、保険料が異なります。